「シャイニングはおもしろい?」
「怖がりでも観れる?」
「どれだけ原作と違うの?」
そんな疑問に、映画を観て原作も読んだマツリカが、ネタバレなしでお答えします。
- あらすじとテーマ
- 完成度の高い演技と映像美の魅力
- スティーヴン・キングが本作を嫌う理由
- 自分に合う?合わない?
これらをまとめました。
“究極の映像美”と“人間の狂気”の結末を見届けましょう。
The Shining(シャイニング)はどんな映画?自分に合う?
何度もテイクを重ねられた俳優たちの迫真の演技と、映像美が素晴らしい映画です。
原作とは別物と言われるキューブリック版の“シャイニング(The Shining)”ですが、当時の技術で、圧倒的な映像美を生み出しました。
公開され、30年以上経った映画ですが、今なお多くのファンに支持されています。
続編「ドクター・スリープ」が2019年に公開され、ネット上は考察で溢れました。
これにより、再評価が進んでいる作品でもあります。
基本情報
【映画】
| 公開 | 1980年12月13日 |
| 配信 | U-NEXT(見放題配信中) Amazonプライムビデオ(レンタル) Hulu(サブスク) |
| 監督 | スタンリー・キューブリック |
| ジャンル | サイコロジカルホラー |
| キャスト | ジャック・トランス / ジャック・ニコルソン ウェンディ・トランス / シェリー・デュヴァル ダニー・トランス / ダニー・ロイド ディック・ハロラン / スキャットマン・クローザース |
【原作】
| 著者 | スティーヴン・キング |
| 発行年月日 | 1977年1月28日 |
【自分に合う?合わない?】
★当時の技術が最大限に活かされた映像美を堪能したい方におすすめ
★人の闇を描いた狂気が苦手な方にはやや不向きかも

スティーヴン・キングのファンである我が父母に「キング作品で1番怖いのはどれなのか」を尋ねたところ、“シャイニング”と返ってきた。
そんなわけで、まず映画を観ることにしました。
あらすじ
小説家志望であるジャック・トランスが、冬の間は閉鎖される、コロラド州のロッキー山上にあるオーバールック・ホテルの管理人としての職を手にいれた。
しかし、このホテルでは、前任者による凄惨な事件が起きていたのである。
面接時に、ホテル支配人であるスチュアート・アルマンからこの事件について聞かされていたジャックだが、「自分はそんなことにはならない」と、妻ウェンディと息子のダニーを連れてオーバールックに春まで住み込むことに決まった。
不思議な力“シャイニング”を持つダニーをはじめ、家族は様々な現象をホテルで体験することになる。
シャイニング(The Shining)の「魅力」
本作の魅力は、当時の技術を最大限にまで引き出した映像美と、俳優たちの素晴らしい演技です。
この演技により生まれる“緊張感”は、まるでそこにいるかのような感覚を味わえます。
“怖さ”よりも“逃げ場のない恐怖”
本作は「人間の狂気」がリアルに描き出されています。
人里離れたホテルという閉鎖空間で、正気を失った人間から逃れられない恐怖と、緊張感が半端ではありません。
心霊的な怖さとは違う種類ですが、随所にホラー要素もあります。
ですが、私が観られるくらいなので、よっぽどの怖がりでなければ視聴できるはず。
ジャック・ニコルソン演じる、“ジャック・トランス”の怖さ(演技)が賞賛されています。
本当に気が狂ってしまったかのような、尋常じゃない見事な演技が素晴らしいです。
監督を務めたスタンリー・キューブリックは、テイク数を重ねることで有名です。
ジャケットにも採用されている、ドアの割れ目から不適な笑みを浮かべて登場するジャックですが、この“2秒”のシーンに“2週間”を費やす監督です。
何度も重ねられるテイクに、俳優自身が精神的に疲労してしまった結果、リアリティ溢れすぎる演技が完成したのです。
ウェンディを演じたシェリー・デュバルは、演技を通り越して、本当に追い詰められてしまったそうです。
彼女の怖がる様子に、鬼気迫るものがあります。
包丁を持つ手が常に震えているんですよ。
彼らの演技に動悸が止むことはなく、その場にいるような緊張感と恐怖を味わえます。
さらには、不安を煽るBGMや金属音のような高音が響いていて、何も起きないのに何か起きそうな、音だけでも怖いです。
まるでサイレントヒルのような恐怖です。
圧倒的な映像美
本作は、演出に凝った作りになっています。
開発されたばかりのステディカムを用いた撮影。
そして、綺麗に左右対称な、カーペットや壁の模様や双子。
ダニーがホテル内を三輪車で走る映像は、ステディカムで撮影されています。
床下わずか6センチで撮影され、ダニーの目線で見るワクワクと同時に、迫りくる恐怖に不安も覚えるシーンです。
スティーヴン・キングが怒った理由
原作者であるスティーヴン・キングは、キューブリック版のシャイニングが大嫌いだそうです。
最も許せなかったのは、ジャックやウェンディの人物像が大きく変更されたこと。
原作では善良な父親として描かれたジャックは、本作では最初から乱暴者。
強い女性として描かれたウェンディは、弱々しく描かれてしまった。
これが、キングにとって許しがたい大きな改悪でした。
その他、原作の内容をすべて映画に収めることは無理だと思いますが、根本的に世界観が違います。
結末も改変され、キングが描いたテーマからも大きく逸れたものとなっています。
原作との違い
本作は「人間の内に秘めた凶暴性」を恐怖として描かれていますが、原作は「自然現象による恐怖」を中心に描かれています。
先述した通り、“根本的に世界観が違う”ので“どこが違う”と言うよりかは、「全体的に違う」が正解なのかもしれない。
強いて言えば、大きく3つ
- “シャイニング”がどのような力なのか
- オーバールック・ホテルとはなんなのか
- ジャックがなぜこんなことになったのか
ジャックやウェンディの人物像についてもそうですが、この3つが本作では語られなかった(変更になった)。
原作が未読でしたら、読んでみて本作と比べてみるのもおすすめです。
シャイニング(The Shining)の「テーマ」
原作と映画では、テーマが異なります。
映画のテーマ「負の連鎖」
“ホテルの呪い”ではなく“家族という狭い空間での恐怖”を描いています。
映画のジャックは、元から気性の荒い人物です。
オーバールック・ホテルに来て、豹変してしまったのは“きっかけ”にすぎません。
…むしろ、必然だったのかもしれません。
そしてラストの写真は、いつの時代にも“彼のような人”がいることを示しているんだと感じます。
原作のテーマ「人の闇・狂気」の底にある「父子愛」
依存症に悩まされた経緯を持っているジャックに対し、不安と葛藤を抱くウェンディ。
そして、両親の不和に悩む息子のダニー。
トランス家は“壊れかけの家族”です。
オーバールック・ホテルに影響されてしまったジャックは、“負の側面”が増幅されながらも、ラストでは「息子を愛する父の姿」を見せるのです。
原作・映画ともに似たテーマもありますが、映画は、「最初から壊れていた男の恐怖の物語」。
原作は、「壊れていく中でも、父になろうとした男の悲劇の物語」です。
「シャイニング」が今も色褪せることなく支持されているのは、これらの普遍的テーマを扱ったことにもあるのでしょう。
気になる点・デメリット
- 映画と原作が別物
スティーヴン・キングの小説を大きく改変して作られています。
※キング本人は酷評ですが、世間的には非常に支持が高く完成度が高い映画です。
個人的にはどちらも好きなので、映画と小説で二度楽しめました。
- シャイニングについての説明がほぼない
映画では、シャイニングについて軽くしか触れられません。
※“人間の狂気”を中心に描いた作品なので、シャイニングについては深い理解はいらないかもしれません。
シャイニングがどんな力なのかを知りたい方は、原作がおすすめです。
実際に観て感じた「本音」
両親が「怖い」と言うので、もっと心霊的な怖さを想像していましたが、最後まで「逃げ場のない緊張感」が続く作品でした。
映画を観たあとに原作を読みましたが、本当に全く違うので驚きましたが、結果的には両方楽しめました。
映画に登場した“迷路”が原作にはなく、原作に登場した“植木”が映画にありませんでした。
原作では、この“植木”に非常にハラハラさせられました。
それと、映画のウェンディは黒髪でしたが、原作のウェンディは金髪です。
読みながら、頭では映画のキャストで再生されてしまうので、脳内で混乱が起きました。
映画では、原作で描かれた「ジャックの正気が失われるまで」がないことで、“人間の狂気”そのものが恐怖として成り立ちます。
個人的に原作があるものは、できる限り忠実に再現してほしいです。
なので、スティーヴン・キングが怒った理由も納得できます。
ですが、映画版「シャイニング」は、スタンリー・キューブリックのこだわりの賜物であり、この監督じゃないと生まれなかった映像であることは確かだと言わざるを得ない。
それだけ没頭して、最後まで見入っていました。
小ネタ情報
通常でもテイク数が40~50が当たり前だそうで、2週間を費やしたあの有名なシーンは優に100回を超えています。
とんでもないですね。
ハロランが倒れるテイクも、40回以上を要したみたいです。
ハロランを演じるスキャットマン・クローザースは当時で結構なお年を召していたために、ジャック・ニコルソンがキューブリックに「もうやめてあげてくれ」と頼んだんだそうな。
ダニーを演じるダニー・ロイドは当時6歳。
怖がらせないように、ホラー映画だとは伝えずに撮影をしたんだそうです。
…十分怖いだろう。
別々に撮影したんだとしても、雰囲気がもう怖いですよ。
「レッドラムレッドラム」言いながら鏡に文字を書くし、お母さん(ウェンディ)は恐怖で震えているし。
合う?合わない?:まとめ
★こんな人に合うかも!
- 人間の怖さを味わいたい
- 独特で完成度の高い映像が好き
- スタンリー・キューブリックの作品が好き
★こんな人には合わないかも…
- 原作が改変された作品が好きじゃない
- 逃げ場のない精神的な恐怖が苦手
- 説明が少ない作品が好きじゃない
〆る
映画は映画で、とにかく怖い。
俳優のリアリティ溢れすぎている演技、映像美や演出の評価も高い。
最後まで緊張が解けないスリルを味わうことができます。
原作でも恐怖はもちろん、シャイニングやオーバールック・ホテルの背景をより深く理解できます。
映画だけ観た人には原作を。
原作を読んだ人には映画を。
どちらもまだの人は、ぜひ両方。
内容は別物でも、どちらも唯一無二の魅力がある。
そんな“二度おいしい”作品が、シャイニングなのです。
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