IT(イット)はどんな映画?【ネタバレなし・あらすじ・感想】7人のトラウマと絆・原作との「違い」は?

IT“それ”が視えたら、終わり。(レビュー)|アイキャッチ画像 映画・エンタメ

子ども達それぞれが抱えるトラウマと向き合い、「IT」に打ち勝つ物語。

友情・絆・感情にフォーカスされた、スタンド・バイ・ミーのホラー版と言われることが多い作品「IT (イット)“それ”が視えたら、終わり。」。

ホラー要素はそこまで強くなく、怖がりでも観られると思います。
ただ、凄惨な描写やピエロが苦手な方は避けた方がいいかもしれません。

スティーヴン・キング長編小説を映像化した作品なので、演出や構造が変更され、カットされてしまった描写もありますが、核心には触れていますので映画も十分に楽しめます。

より詳しく理解を深めたい方には、原作もおすすめです。

基本情報

【映画】

配信U-NEXT(見放題配信中)
Apple TV/iTunes(レンタル・購入)
Amazon Video(レンタル・購入)
Hulu(サブスク)
構成chapter1:2017年
chapter2:2019年
監督アンディ・ムスキエティ
ジャンルサイコロジカルホラー
  • キャスト
    • ビル・デンブロウ / ジェイデン・リーバハー
    • ジョージ・デンブロウ / ジャクソン・ロバート・スコット
    • ベン・ハンスコム / ジェレミー・レイ・テイラー
    • リッチィ・トージア / フィン・ウルフハード
    • べバリー・マーシュ / ソフィア・リリス
    • スタンリー・ユリス / ワイアレット・オレフ
    • マイク・ハンロン / チョーズン・ジェイコブス
    • エディ・カスプブラク / ジャック・ディラン・グレイザー
    • IT(ペニーワイズ)/ ビル・スカルスガルド

1990年(日本1991年)に2回に分けてテレビミニシリーズが放送され、2017年にリメイクされた。

【原作】

著者スティーヴン・キング
発行年1986年

★子ども達が自分のトラウマを乗り越える、感情ドラマが好きな方にはおすすめの一作です。

★完全なホラーを求める方、ピエロや凄惨な描写が苦手な人にはやや不向きかもしれません。

マツリカ
マツリカ

テレビミニシリーズは観ていないのですが、原作小説(スティーヴン・キング著)を読みました

chapter1:子ども編
chapter2:大人編

chapter1

メイン州デリーに住む兄弟、ビル・デンブロウ弟とジョージ

ジョージはビルに作ってもらった“沈まない紙の船”を持って雨の中、遊びに出かける。

水に流されていく船は、やがて雨水管に落ちてしまった
ジョージが雨水管を覗き込むと、片手に風船、片手に船を持った「IT」がそこにいた。

ジョージが差し出された船を受け取ろうと手を伸ばした時、「IT」の顔が恐ろしく歪み、ジョージは雨水管に引きずり込まれてしまった

chapter2

デリーではまた、子どもが犠牲になる事件が多発していた。

デリーに残っていたマイクが6人に電話をかけ、招集。

6人にはデリーでの記憶が全く残っていなかったが、マイクからの電話で27年前に交わした誓いを思い出す

当時奇跡的に生き延びた子ども達が大人になり、「IT」を倒すために再び故郷へと戻ってきた。

子ども達が「IT」に打ち勝つために団結し、トラウマを乗り越える。
“絆・友情”に深くフォーカスされた物語です。

“トラウマ”を乗り越える

子ども達が自身の「恐怖」と向き合い、子どもにしか姿が見えない“ペニーワイズ”と呼ばれている「IT」に飲み込まれないよう成長しなければならないのです。

6人のトラウマがchapter1で明かされますが、リッチィだけ濁されています。

しかし、大人になったchapter2で示唆されるリッチィの「恐怖」は、当時の時代背景との兼ね合いを考えると、非常に納得感のあるものでした。

リッチィが自分自身のトラウマを乗り越えることができた時、この物語は真の完結を迎えたのだと思います。

ホラーなだけではない“友情と固い絆”の物語

世間の感想は極端に分かれるようです。
完全なるホラー映画だと思って肩透かしをくらってしまった方もいる様子。

なぜなら本作は、「スタンド・バイ・ミー」のホラー版と言われています。

ホラー要素もありながら、青春群像劇の要素が非常に強いのです。

ペニーワイズとの対峙を通し、彼らは友情・絆を深めていきます。

信頼・団結することの大切さを学び、恐怖に飲み込まれそうだった彼らが、最後には対象を“ちっぽけな存在”だと信じ込む言葉の力をもって「IT」に挑むのです。

スタンド・バイ・ミーのホラー版と言われる理由は、ここにあると感じます。

徹底された作り込み

作中で子ども達が初めて“IT”と対峙するシーンは、「ぶっつけ本番」で撮影されました。

なんと、当日まで子ども達は「IT」(ビル・スカルスガルド)と会っていないのです。

「もうほぼ演技じゃなく、本気で怖がってたかも」と、ベンを演じたジェレミー・レイ・テイラーがインタビューで語っていますが、まさに「本物の恐怖」をスクリーンに映し出しました。

すごすぎませんか?

私であれば、本気で怖がり始めたらパニック状態に陥って、演技どころじゃないと思うんです。

そのメイキング映像も観たのですが、さすがプロです。
本気で怖がりながらも、次のセリフも演技も飛ばずに見事演じきっていました。

「IT」を演じるビル・スカルスガルドが、自身で工夫した恐怖に振り切った演技や、その他の細かい演出など、本作はかなり作り込まれています。

観始めると止まらない理由が、様々な場面に散りばめられています。

スティーヴン・キングの原作小説は文庫4冊
我が家にあるのは、どうやって読んでも肩と首が疲れるハードカバーの大判2冊です。

映画を観終わってからITの小説を読みました。

【原作を知ると驚愕?映画と小説の「ここが違う」印象的な3選】

  • ビルの見た目
    映画:スレンダーなイケメン
    小説:なんと、髪の毛が薄い。
  • ベンの変貌(ダイエット)
    映画:チャプター2でも体形ついて多少触れられましたが、なぜここまで変化したかは語られない
    小説:「執念のダイエット」の経緯がしっかりと描かれる
  • 恐怖の構成
    映画:子ども時代と大人時代とで分けられているため、観やすい
    小説:両方を行ったり来たりで、過去のトラウマが現在を侵食していく感覚がより強烈

さらに、デリーの歴史についての細かい説明もあるので理解が深まる。
映画で語られなかった話が小説には全て詰まっております

マイクの父が昔話をしてくれるのですが、なんと“ハロラン”が登場します。
同じ名前の別人なのかと思っていたのですが、軍隊の中でご飯を作るんです。

「シャイニング」と「ドクター・スリープ」でおなじみの、あのハロランで確定です。
そもそも“ディック・ハロラン”てフルネームで登場している。

昔話のちょっとだけの登場でしたが、個人的にハロランが好きなのでちょっと心が躍りました。

ラストも映画とは違い、ここまでに繋がる重要な描写となっております。

映画では映像にできない内容なので、結末を知りたい方はぜひ原作をチェックしてみてください。

子ども達の心理と関係性に焦点をあてられている映画。
宇宙の秩序に関わる異次元の存在として「IT」の存在論にまで広がる小説。

なので、映画と原作では扱うテーマの範囲が違うと思いますが、「友情・恐怖・記憶の喪失・トラウマの克服」などのテーマは両作とも共通しています。

映画:ITの「テーマ」

「恐怖を通した成長と絆」

「IT」は子ども達の中に存在していて、その内面にある“恐怖”を可視化するのです。

デリーの大人たちは無関心で問題を見ません。
そんな歪んだ社会が子ども達を孤立させます。

1人で抱く恐怖は、人を弱くします。
しかし、恐怖を共有した時、それは絆を生む。

子ども達は恐怖を共有することで結束し、相互承認によって強さを得ました。

その「繋がり」が、恐怖に立ち向かう鍵になるのです。

原作:ITの「テーマ」

「社会構造と宇宙的恐怖」

①時間構造

子ども時代と大人時代が交互に描かれることで

  • トラウマは消えない
  • 過去は現在に侵入する
  • 忘れることは“一時的な封印”である

というテーマが明示されます。

②デリー

原作ではデリーの町の歴史が詳細に描かれます。
そこからわかるのは、ペニーワイズは、町の“腐敗”そのものと結びついた存在であるということ。

③宇宙的恐怖

原作の「IT」はより抽象的で、“概念”に近い存在です。

それは理解不能で、人間の理性を超えた宇宙的恐怖として描かれます。

映画が心理学ホラーなら、
原作は存在論ホラーと言えるでしょう。

  • 完結までの視聴時間が長い
    chapter1で「2時間15分」、chapter2で「2時間49分」あり、計5時間以上あります。

一気見するには気合が必要、腰を据えて観られる休日向けです。

  • ジャンプスケアに偏り気味
    完全なるホラーを期待すると物足りないかもしれません。

お化け屋敷にすら入れない私のような究極のビビりであっても、ビックリはするけど「無理!」てなる怖さがないので、怖がりの方にはちょうどいいかも(?)しれません。

「IT」のデザイン的に、ピエロ恐怖症だと半端なくキツイです。
私は幸いピエロは平気なので問題なく観ることができました。

心霊的な怖さは控えめですが、視覚的な衝撃が強い描写が苦手な方はご注意ください。
レベルは、時にSAWくらいの衝撃です。

スプラッタは平気でもホラーが無理な私でも、これくらいであれば映画館の大スクリーンで本作を観ても大丈夫だったと思います。

ビックリ演出にはちゃんとビクッとしましたが、笑えちゃうシーンも盛り込まれていてるので、いわゆる“ホラーホラーした”作風ではありません。

本作の恐怖の象徴である「IT」のメイク。
なんと、2時間半以上かかったそうです。

さらに、恐怖を煽る焦点があっていない外側に向いた“目”。

なんとこれ、CGなどは一切使われていません。
「IT」を演じたビル・スカルスガルド本人によるものなのです。

当初は監督もそんなことができると想定していなかったので、CGを使う予定だったそうです。

それをビル・スカルスガルドが一言「できますよ」と。
監督もさすがに驚いたようです。

本当に、すごすぎる

それと本作には、原作著者スティーヴン・キングカメオ出演しております。
chapter2でビル(デンブロウ)にシルヴァー(自転車)を売っていました。

★こんな人におすすめ!

  • 絆・友情・成長物語が好き
  • 映画:原作は挫折したけど、ストーリーを知りたい
  • 原作:詳細を知りたい
  • ピエロとスプラッタに耐性がある

★こんな人には向かないかも…

  • 完全なホラーを求めている
  • ピエロやスプラッタ描写が苦手
  • 説明や背景を深く考えるのが面倒

ホラーが苦手な私でも正面から観られるレベルです。
なのでピエロとスプラッタ描写が平気であれば、相当な怖がりでも楽しめる作品。

小説は読みだしたら止まらないし、映画は映画で面白い。

赤い風船を見るとどうしても「IT」を思い出すようになりました。

文章と映像で2度おいしい。
キングの作品はどれも面白いです。

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