漫画『からくりサーカス』は複雑?泣ける?愛と執着の果てに見つける“真の笑顔”【ネタバレなし・感想】

からくりサーカス(レビュー)|アイキャッチ画像 漫画・アニメ

“うしおととら”と一緒に全巻売って後悔した末に買い直したマツリカが、『からくりサーカス』をネタバレなしでまとめました。

  • 真の愛を知る物語の魅力
  • 複雑な設定を簡単にする方法
  • 43巻のボリューム…自分に合う?

1人の男が拗らせた執念の結末を見届けましょう。

1人の男の拗らせた愛情(執着)から生み出された人形たちと、人形を破壊する者たちの戦い。
サーカスと人形を軸に描かれる、バトル×人間ドラマの長編漫画です。

たくさんの出会いを経て完成するのが「からくりサーカス」。

真の愛と醜い執着がぶつかる“笑顔の意味”を知る壮大な物語です。

設定が少々複雑なので、途中離脱してしまった方もいるかもしれないこの作品。
しかし、紐解くと案外シンプルな複雑さなのです。

基本情報

【漫画】

作者藤田和日郎
ジャンルダークファンタジー
バトルアクション
連載(1997年32号~2006年26号)週刊少年サンデー
単行本全43巻

【アニメ】

2018年10月~2019年6月全36話
マツリカ
マツリカ

アニメしろがねの声優が林原めぐみ様です。
大好きです。

【関連記事】藤田和日郎の前作、あまたの“出会い”が世界を救う力となる!漫画「うしおととら」のネタバレなし感想は、こちら

人を笑わせることで症状が落ち着く難病、ゾナハ病を患う加藤鳴海(カトウ ナルミ)

父から全ての遺産を受け取ることになった才賀勝(サイガ マサル)

そしてマサルを護る者、しろがね

物語は、マサルが人間そっくりな自動人形「オートマータ」に襲われているところを鳴海が助けたことから始まる。

1人の男の執着が生み出した複雑に絡み合う“からくり”を紐解いていくこととなる。

すべては愛と執着から始まった。

たくさんのキャラクターを通じて成長する主人公と、“笑顔”の意味を知る物語。

複雑に見えて「核」はシンプル

本作の複雑さは、大人気作品「HUNTER×HUNTER」の念能力や「呪術廻戦」の術式、死滅回游などのルールを理解し続ける難しさとは別の種類だという結論に辿り着きました。

本作はキャラクターが多いです。
別のキャラクターなのに同じ顔の連続、転生を繰り返すキャラクターまで存在します。

さらには、いくつかのキーアイテムやゾナハ病の起源など。

このような要因の積み重なりが複雑に感じ、離脱してしまう人もいます。

しかし、突き詰めれば「愛(執着)」に起因するもので、複雑だと感じるすべての要因が愛と執着で暴走した1人の男と“サーカス”に繋がります。

愛を拗らせてしまった男の悪あがきだと思うと、実にシンプルです。

とはいえ、単純にキャラクターの多さが混乱を招く可能性もあります。

ですが、ひとりひとりのエピソードが丁寧に描かれるので、すぐに記憶から消えてしまうようなキャラクターは少ないはず。

ちょっと力業ですが、私は漫画を一気読みしたことで混乱しませんでした。
43巻あるので読み終えるまでは毎日寝不足覚悟で没頭です。

記憶が薄れてしまう前に全巻読むことができれば、混乱しないかもしれません。

敵ですら愛おしい・人形が教えてくれる「感情」

個人的に1番感情を持っていかれたのが「最古の四人」です。
“真夜中のサーカス”の危ない人形です。

そんな物騒なキャラクターですら魅力的になるのです。

世間でも最古の四人は、結構人気があります。

彼らは“フランシーヌ人形”に忠誠を誓い、彼女を“笑わせるため”に作られた人形たちです。

  • ドットーレ
    物騒な人形のまま退場
  • アルレッキーノ&パンタローネ
    デザインは変わらないけど、中身が人間に近づく
  • コロンビーヌ
    作中でなぜかゴスロリ幼女にデザイン変更

ドットーレを除く3体はとんでもなく人間に近くなり、泣かせてきます。
だからゴスロリ幼女になったのかもしれません。

リョーコが木彫りの鳥を受け取るシーンと、安堵した表情を見せる瞬間は何度読んでも涙腺の崩壊です。

機械的だった彼らがここまでの感情を持つまでに至り、人間らしい表情まで見せるのです。

誰よりも人間に近くなった彼らには、胸が締め付けられます。

キャラクター造形:コンメディア・デッラルテ

先述した「最古の四人」も含め、ヨーロッパの伝統喜劇【コンメディア・デッラルテ】が元ネタになっているキャラクターが多数います。

コンメディア・デッラルテの登場人物は、それぞれ役割・性格・顔立ちが記号化されていて、多くのキャラクターは仮面をつけている。

「道化」「純粋」「哀愁」「狡猾さ」などの性質を“顔そのもの”で観客に伝えるのです。

本作は、これを元にデザインされたキャラクター達が、最高にかっこいいです。

個人的にダントツなのが、あるるかんとオリンピアです。

この2体の戦闘シーンがまた派手で素晴らしい。

仮面のような顔と激しい動きのギャップ、画力の高さによる躍動感も際立っています。

緻密な伏線を綺麗に回収する構成力

長期連載で複雑な設定を扱いながらも、物語は終盤に向けて綺麗に収束します。

後付け設定と言われる部分もありますが、大きな破綻はなく、読後感は非常に良いです。

名言も多いし表現や見せ方、どれをとっても天才です。

時に、熱く照れくさいセリフも含めて、少年漫画の王道を貫いています。

その当時、サンデーのCMでしろがねが「あるるかーーん」て叫びながらあるるかん出してレザアマシオウしてコランかなんか繰り出すんです。

ですが、アニメ化には至りませんでした。
しかし、時を経て念願のアニメ化です。

…でも、36話では収まりきりませんでした。

原作では、重厚な物語が描かれたのちに仲町サーカスの一員となる猛獣使いのリーゼですが…

登場時、既に仲町サーカスの一員なのです。

ゆえに、リーゼと因縁の虎“ビースト”の話がカットされています。
ビーストが姉さんを…終了!リーゼの相棒であるライオンのドラムは、存在すらしません。

尺の都合があるので仕方ないことなのですが、原作を知っていると物足りなさを感じるかもしれません。

しかし、作画は丁寧なので見応えはあります。
あるるかんやオリンピアが暴れ放題なバトルシーンは迫力満点です。

さらに、物語の核の部分についてはきちんと語られるので、一気見しちゃうくらいに楽しむことができました。

愛を通した「笑顔の意味」だと思っています。

フランシーヌ人形や、最古の四人の役割、この人形たちが作られた経緯は1人の男が拗らせた“愛”です。

“しろがね”の存在自体もそうですが、“サーカス”に所属している意味や、マリオネット。

これらすべて、“笑顔”に結び付くものです。

拗らせてしまった愛は“執着”となり、人を笑顔にできる感情ではありません。

「真実の愛」を受け取った時、「真の笑顔」が生まれるのです。

  • ギャグやノリについていけるか分かれそう
    今読むと古いと感じてしまうかもしれません。

物語はシビアですが、随所にギャグなどが含まれます。
個人的には気になりませんが、冷めてしまう方もいるようです。

  • 全43巻のボリューム
    手は出しづらいかもしれません

ですが、完結済みなので途中で終わってしまう不安はありません。

ちなみに、今から追いかけたいという方に耳よりな情報です。

漫画アプリの「サンデーうぇぶり」で、2027年に向けて最終話までの公開スケジュールが組まれているので、自分のペースで少しずつ読み進めることができます

私は昔、全巻揃っていた“からくりサーカス”を、何を思ったのか“うしおととら”と合わせて全部古本屋に売ったのです。

とんでもなく後悔しました。

なので、

原作を
→ 買う
  買わない

という選択を経て、大人になった今読み返しました。

連載当時はキャラクターや設定でわけが分からなくなり、雰囲気でしか読まなくなっていましたが、読み返してよかったです。

自然に涙を誘う演出、深い感情描写、どれもが秀逸なので読み始めたら止まりませんでした。
寝不足+頭痛というループにハマっても続きが気になっちゃうのです。

登場時は印象がよろしくなかったキャラクターでも、気付けば感情移入していることが多々あり、ついには涙腺を破壊してきます。

とはいえ、漫画を一気に全巻買うのは結構な勇気が必要ですので、最初はアニメから入るかサンデーうぇぶりで試し読みしてから検討することをおすすめします。

★こんな人に合うかも!

  • 深い愛の物語が好き
  • 感情を覚えるキャラクターが好き
  • サーカスの演目を駆使したバトルが見たい

★こんな人には合わないかも…

  • 照れ臭いセリフやギャグが苦手
  • 複雑な物語は苦手
  • 感情的に消耗する作品が苦手

「からくりサーカス」は、うしおととらとはまた違った話ですが壮大なドラマであることは共通している。

ゆえに、からくりサーカスも少年漫画の傑作だと思っています。

読み始めたらもう止まらないので、一気読みできる。
キャラクターもマリオネットもストーリーも全てが魅力的。

我が子にも読んでほしいなと、ほんのり思っています。
刺さる名言も多いこの作品は、きっと響く


藤田先生の前作と、本作で“意思を持つ人形”が心に響いた方には、ゲーム「デトロイト ビカム ヒューマン」もおすすめです。

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